健康な毎日
「食べすぎ」と「歩かない」の二重奏では?
(by くっちゃ・なかじっきゃ)
風知草:過剰という病=山田孝男
毎日新聞 2012年05月14日 東京朝刊
小食を勧める健康本が売れている。「激うま激安」「デカ盛り」に驚喜してみせるテレビのグルメ番組とは対照的だ。テレビは過剰の時代の惰性を、小食健康本ブームは新しい時代潮流を映し出している。
「『食べない』健康法」(08年東洋経済新報社)などを書き、ブームの火付け役の一人となった石原結実(ゆうみ)(63)によれば、現代人は食べ過ぎである。食べ過ぎるから病気になる。
この人は内科医にして断食指導者。引きも切らぬ患者の中には石原慎太郎東京都知事や細川護熙、羽田孜、安倍晋三の歴代首相など著名人も多く、知る人ぞ知るカリスマだ。
長寿健康法をテーマにした著作が260冊。テレビ出演、講演活動だけでは飽きたらず、参院選に出馬(一昨年、東京選挙区、無所属、落選)した。そう並べ立てれば相当ウサンくさい人物と誤解されかねないが、そんなことはない。
私は、長崎大学医学部を出て大学病院の研修医をしていた70年代の石原結実を知っている。まだソ連領だったカフカスの長寿村(今のグルジア)を見て帰国した石原を、毎日新聞長崎支局記者として取材し、記事にしたことがある。
健康について調べ、生活習慣を正すという使命感の自覚と実践が一貫している。マスコミを通じて啓発を試み、いささかマスコミ不信に陥り、今は東京の下町にある診療所と静岡県伊東市に建てた断食道場を往復、施療に明け暮れている。
石原の主張の核心は「好き放題、飲んで食べるのは1日1食だけにしなさい」というところにある。石原の講演は「みなさん、毎日毎日、3食たべてよくぞ今日までご無事で……」と笑わせて始まるそうだ。
先週、久々、石原と話す機会を得た。「古代のギリシャもローマも、エジプトも、栄華の頂点で病気がはやり、人口の3分の1が死んで滅んだ。日本も衰亡ムードですねえ」
「国の税収41兆円に対して国民医療費37兆円(10年度)でしょ? 検査のし過ぎ、投薬のし過ぎですよ。6000年前のピラミッドの碑文に『人は食べる量の4分の1で生きる、他の4分の3は医者の糧になる』と書いてあるそうです。知ってました? アハハハハ」
三十余年ぶりに石原の取材を思い立ったのは、豊かな生活とは何かというイメージの混乱を整理する上で参考になるのではと考えたからである。
先月、経団連の研究機関が発表した2050年の経済予測リポートは、このまま経済成長を怠れば、1人当たり国内総生産(GDP)でやがて韓国に抜かれ、先進国から転落すると指摘して反響を呼んだ。
このリポートは序文で「いかに経済社会の活力を維持し、豊かな国民生活を実現していくかが問われている」と強調しているが、豊かな生活とは何かを問い詰めてはいない。
意地悪く言えば、「激うま激安」「デカ盛り」の爆食で病気になっても、薬や医療の支出でGDPが増えるならけっこうだという感覚である。
小食や断食に対する関心の高まりが、飽食した一部の金持ちの気まぐれだとは思わない。これでもかとばかり消費をあおる現代資本主義への疑問。過剰は苦痛という自覚。そんな不安が人々を書店へ駆り立てる。
「先進国」とは何か。「先進的」とはどんなことか。小食健康本ブームは根本の問い直しを迫っている。(敬称略)(毎週月曜日掲載)
「食欲」と「靴サイズ」(長さ・特に幅)
どちらも、「過ぎたるは 及ばざるが如し」!
世の中、本当に大切な事は
結構「地味なお話」!
大きな声は、聞こえるけれど
小さな声は、届かない?(苦)
(by ビンボーくっちゃ)
by 05535
| 2012-05-15 13:40
| くっちゃ・なかじっきゃ・の話